暴威-ボウイ-BOOWY 布袋寅泰 ライナーノーツ 「FRONT242 『TYRANT FOR YOU』」
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布袋寅泰 ライナーノーツ 「FRONT242 『TYRANT FOR YOU』」 
2017.05.20.Sat / 14:07 
布袋寅泰 ライナーノーツ 「FRONT242 『TYRANT FOR YOU』」

 
  エレクトロニック・ボディ・ミュージック。なんてエロティクでヴァイオレンスにあふれた響きを持つ言葉だろう。
そしてこの名称を自ら自分達の音楽に初めて当てはめたのがこのFRONT242である。
ベルギーという、こと音楽に関してルーツを持たない国から突然現われ、全世界のビート・マニアに彼らが与えた衝撃は計り知れない。かつてクラフトワークが、ディーヴォが、そして数々のアートの香りを持つバンドがそうであったように、彼らも又自分達はミュージシャンではない、技術者だと公言する。彼らの言葉は初めて彼らの音の中に身を委ねた瞬間に体感できる。
そしてその音はまさに技術者達のプライドで満ち溢れている。人々は勝手にスロッピング・グリッスルとクラフトワークの中間などと彼らを称したが、今では多くのエレクトロニクスを用いたスタイルのバンドがエレクトロニック・ボディ・ミュージックという名のジャンルの中で語られている。彼らの創り出すサウンドの勝利である。そして僕も又FRONT242の音の中毒患者の1人である。
  シングルを含めるとかなりの数にのぼる作品を発表してきた彼らだが、人々にその名を知らしめたのは前作の「FRONT BY FRONT」だろう。完璧にデザインされたハイテックなサウンドはまさに90年代の幕開けに相応しいものだった。ある日僕は写真家の半沢氏とフォトセッションを行った。僕は毎回お気に入りのCDやテープを持参するのだが(音に包まれていない自分はただのお人好しのノッポだ)その日は「FRONT BY FRONT「」を聴きながら半沢氏のシャッターの音を味わいたかった。セッションが始まって数分後、彼は僕にこれは何をいうバンドの音かと尋ねた。そして手早くメモを取り何人かの僕の分身をカメラに封じ込めた後、レコード屋へむかった。撮影スタジオとFRONT242のマッチングはまさにハプニングだった。音楽で人に等身大の自分を理解させるのは不可能に近い。だが音楽は作り手の背景や思考を増幅させて伝えるパワーを持っている。彼らはサイエンスや映画、演劇などからインスパイアされ、それを音楽という手段でアピールする。そして時代とシンクロさせる。時代はまさにコラージュだ。彼らは時代もサンプリングしてしまう。クールに、クールに・・・・。
「FRONT BY FRONT」が踊れる要素を少なからず含んでいたのに対し、今回の「TYRANNY▷FOR YOU◁」は重厚かつ極めてマニアックなアプローチによる作品だ。そして一聴すると気分がダウンしていく感じがするのだが、一旦音の中に飛び込んでしまうと逆に覚醒していく自分に気づく。ここが他のバンドとFRONT242が一線を画している最大の理由だと言える。個人的には形而上学的なアプローチがあざやかだった前作の方が今の段階では好みだが、本作もなかなか深そうだ。しかも彼らの音は中毒性を持っているから始末に悪い。近所から苦情が来るのも時間の問題だろう。
  日本はマダエレクトロニクスを導入した音楽が素直に受け入れられる状態ではない。多くの人がコンピューターにはアグレッシブなよ要素がないと考えているようだ。デペッシュ・モードがいい例だが、彼らはヨーロッパやアメリカでは5万人を超えるオーディエンスを前にプレイする。だが前回の武道館公演の2日目の動員はツラかった。昔コンピュータを使った音楽は冷たくて無表情なものだと信じ込んでしまっている。ひと昔前にグレイトフルデッドは音楽を武器に当時のカルチャーを創り上げ、そしてデッドキッズのヒッピーがよりトリップできる物を求めて試行錯誤したのち、創り出したのがアップル・コンピュータであるという話は有名である。しかし多くの人はコンピュータは電卓の発展形の様なものというイメージを強く持っている。そしてさらに悪いことに、コンピューターを使えば誰でも同じことができると思いこんでしまっている。FRONT 242やイエローなどが優れたバンドなのにもかかわらず、常にアンダーグラウンドでのマニアックな評価しか得られない原因のひとつはそこにあると思う。僕は何もコンピュータ・ミュージックが最高の音楽だと言いたい訳ではない。ただ時代が加速度を増し変わり続けているのだ。ブルースが、60年代が、パンクが・・・etc・・・。様々な歴史をロック・ミュージックは創り上げてきた。そして常に時代をリードしてきた。90年代、最大の可能性を秘めたエレクトロニクスが時代をリードする事に何の矛盾もないのである。
  話が少しそれてしまったが、FRONT 242が近い将来高い評価を受けるであろう事に間違いはない。セールス的な意味での成功は彼らの望むところではないだろうし、チャートを独占する様なタイプのバンドではない。しばらくはこの「TYRANNY▷FOR YOU◁」」を聴きながら人々の反応をながめる事にしよう。時代をみつめる為のBGMにはピッタリだ。そして今、時代はまさにヘヴィーである。
                                                                   布袋寅泰


エレクトロニック・ボディ・ミュージック。
この名称は今は使われていないですし、聞かないですね。
なつかしく感じます。
DAF、Ministry、KMFDM、TEST DEPT、NITZER EBB、 DIE KRUPPS、Einstürzende Neubautenとか、たくさん聞きました。
日本ではだんぜんSOFT BALLETでしたね。森岡さん残念です。

これは、どのアーティストでしょうか?
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これまた貴重なライナーノーツをありがとうございます😊

当時から、既にコンピューターミュージックをしっかりと評価していた布袋さんのセンスに驚かされるライナーノーツですね。
これほどまでにコンピューターミュージック主体の世の中になるとは…そしてアップルに当時から目を付けている事も。
布袋さんの純粋なテクノとかも聴いてみたいです。

デペッシュモードとの共演も観たいです。

- from boowyフリーク -

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