暴威-ボウイ-BOOWY 布袋寅泰 ライナーノーツ 「JESUS JONES 『PERVERS』」
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布袋寅泰 ライナーノーツ 「JESUS JONES 『PERVERS』」 
2017.05.21.Sun / 13:41 
布袋寅泰 ライナーノーツ 「JESUS JONES 『PERVERS』」

  唐突だけど、人と人との出逢いというのは本当にエキサイティングなものだ。運命的なものを感じざるを得ない瞬間を何度味わったことだろう。時間の悪戯というべき偶然に導かれて未知なる自分が目覚める。優しい人と出会えば優しくなれたりするし、知的な人と出逢えば様々なものに興味が湧いてきたりする。パワフルな人のそばにいると内なる衝動に掻き立てられてじっとしていられなくなる。マイク・エドワーズと出逢った人間は、その蒼く澄んだ瞳の奥に秘められたパワーを認めざるを得ないだろう。

  俺がマイクと初めて逢ったのはロンドン、タウン&カントリー・クラブのバックステージに設けられたパーティー会場だった。ジャパン・フェスティバルの一環としてギグに立った時、EMIの連中が彼らを連れてきてくれて、俺等は短い会話を交わした。俺は彼らのファースト・アルバム「リキダイザー」を聴いたときから彼らのファンだったし、突然の対面に戸惑いながらも気付けば「今度一緒に何かを作ろうよ」なんて言ったりして、彼も「時間がある時ならいつでもOKだ」と会話に色を添える始末。回りの人間はきっとパーティという場ならではの、おめでたい社交辞令とでも受け止めたことだろう。折れは忘れなかったし、彼も忘れなかった。

  山下久美子の「スリーピング・ジプシー」のレコーディングで再びロンドンに渡った際に、滞在していたハルシオン・ホテルで彼と昼食を共にした。愛車(マウンテン・バイク!!)で到着した彼は最近移った新居の話をした。庭もあるのかと尋ねると、小さいけどなかなかかわいい庭があるとやや興奮気味。「花とか色々いじれどうでいいね」と東京生活者ならではの羨望を含んだ問いに対して、「友達に手伝ってもらってスケートボードのリンクにしちゃったよ」とうつむいて笑う。平和な英国の午後、話ははずむ。家族の事、小さな頃から世界中を旅して回った話、イギリスのプレスは最低だとかアメリカの観客はいまいちよく判らないとか・・・セカンド・アルバム「ダウト」の成功以来、彼らを取り巻く状況も変化してきたらいく、目に見えぬプレッシャーを背負いながらも、あくまでもピュアな自分であるべきことの大切さを言葉の節々に臭わせながら、茶目っけたっぷりの仕事と共に語るこの男の魅力に俺は引き込まれていった。別れ際に「どうやって一緒にやろうか?」と俺。「フロッピーを東京に送るよ」と彼。

東京に戻って数日が過ぎ、ロンドンからフロッピーが届いた。

  俺は「ギタリズムⅢ」の製作にとりかかった。その中で彼との共演が実現できたらと語っていた。しかしジーザス・ジョーンズもレコーディングに入ったとの知らせに不安はつのった。うわさに聞く限り彼らのレコーディングは延びにのびている状態らしかったし、そんな状況の最中に果たしてお互いリラックスして作業ができるかどうか心配だった。フロッピーとデモ・テープを聴いて膨らんだ期待とはうらはらに、時間が微笑んでくれるかどうかに賭けるしかないもどかしさ。しかし時間は微笑んだ。

ロンドンまでの空の旅は、俺の最も好きなもののひとつだった。

  お互いのスケジュールもうまく折り合いがつきいよいよ約束を果たす日がきた。場所はチズウィックにあるメトロポリス・スタジオ。時間ぴったりにマイクは愛車にて登場。楽器は?と尋ねると、器材はタクシーで送ったと言う。俺なら自分も送るだろう。アタリのコンピュータとローランドのシンセ、アカイのサンプラー2台が彼のフルセットだ。ボタンを押して彼の音楽が踊り出す。荒々しくてエロティック、スタジオ中が踊り出す。構成の確認をして、ひとつひとつの音をチェックしてその日は終えることとした。スタジオのリヴィングでくつろいでいると、ジグ・ジグ・スパトニックのニールⅩがアドビに来た。マイクとニールはそく意気投合。5分と経たぬ間にゲーム・ボーイで戦っている。そんな二人を眺めながら、巡り合わせの妙に微笑まずにいられない俺だった。出木過ぎといえばあまりに出来過ぎな光景だったから。
 2日目は、昨日のラフ・ミックスを聴いた上での反省をチェックし、リズム・トラックを録音し、その上にギターをダビングする作業だった。俺は日本でジーザス・ジョーンのギグは何度も観たし、マイクのギターがとっても好きだったから是非一緒に弾いてほしいと頼むと案の定、その笑顔には、「望むところだ」と書いてある。俺たちにギターを持たせたらただのヤンチャ坊主だ。コンピュータとギターで思いっきり確かめ合ったその曲を「エレクトリック・ウォリアーズ」と名付けることにした。俺のギタリズム・シリーズの中でも忘れることの出来ない一曲だ。

 数日後、メトロポリスにマイクからの電話、彼の家でホーム・パーティーとするから来ないか?との事。イギリス人はパーティーが好きだ。日本人に比べたら他のどこの国も言える事かもしれないが。日本人は誘いを断るために平気で嘘をつく。パーティーに名前は要らない。パーティーはパーティー。気の合う仲間が集まればそれだけで最高のパーティー。俺は遠慮なくマイクのパーティーにお邪魔した。美しい奥さんと一緒に出迎えてくれた彼は、何ももてなしできないけど楽しんでいってくれ、と一言。中に入ると個性的と呼ぶに値する連中がそれぞれの楽しみ方で時間を共にしている。俺も勝手にビールをガンガンやっているとマイクがキーボードのイアンを紹介してくれた。イアンも変わりものだ。お前は速いビートが好きか?と尋ねる。俺が大好きだと答えると大喜びして、よし、俺のとっておきの速い曲を集めたテープを聴かせてやろう!と俺をキッチンに連れて行き、そこにあったラジカセにテープを突っ込んで、まわりの連中おかまいなし状態でかけまくる踊りまくる。その横ではマイクが誰かがこぼしたスライムのできそこないみたいな液体をモップで掃除している。客達の盛り上がりがピークに達した頃マイクが俺の肩をたたき、2階のスタジオに行かないか?と誘ってくれた。

  そのプライベート・スタジオは立ち入り禁止部屋となっていて、静かでクールな空間だった。16チャンネルの卓とコンピュータ、サンプラー、シンセ類がきれいに並んでいる。「いつもここでアイデアを練るんだ。実際ニューアルバムの基本的な部分はここで作っているんだ。」と、すでに録り終えたトラックを聴かせてくれた。スピーカーから溢れ出た新しいジーザス・ジョーンズは予想してたものよりヘヴィーでダークで、それでいて美しかった。その予想というものはきっと、時代が造り上げた様々なスタイル(テクノ?ハウス?スレイヴ?)を丸ごと飲み込んだ恐竜=ジーザス・ジョーンズの成長ぶりだったかも知れないし、いよいよ世界を股にかけてステップ・アップするバンドの華麗でいてはかないターニング・ポイントだったかも知れない。世界はマイクに「ダウト」を超える「ダウト」を求めているのは彼はしっかり受け止めつつ、自分を超える事を選んだ。「どう?悪くないだろ?」その時のマイクの顔は、その結果に心から満足している男の顔だった。

  さて、こうして諸君が手にしている一番新しいジーザス・ジョーンズをどう解釈するかはもちろん個々の自由だ。このアルバムには歯の浮くようなセンチメンタリズムのかけらもないし、歌って騒げるリスナーへの為の曲なんて一曲もない。でも俺たちが聴きたかったのはこれだったんじゃないだろうか?ろくな時代じゃないのは誰も気付いているくせに皆見て見ぬふり決め込んで、金に踊らされて、気に入らない奴にも頭を下げて、カラオケかなんかで憂さ晴らしして、挙げ句の果てに夢が見つからないかなんか勝手に悩んで・・・・

     そこに俺は闇の果てを見つめる
     そこに善も悪もない
     あるのはこの俺だけだ             「SPIRAL」

俺はこの「SPIRAL」が、彼の作品の中で一番好きだ。

                           1992 東京 TOMOYASU HOTEI


ジーザス・ジョーンズ。一世を風靡しましたねー。
デジタルなミクスチャーロックということで席巻しました。
この「PERVERS」リリース後、前作「ダウト」でのブレイクを維持できず、ジーザス・ジョーンズは失速していってしまいます。

1994年「W HEADLINE TOUR TOMOYASU HOTEI VS JESUS JONES」として、来日し、布袋寅泰とは共演しており、
次作のアルバム「ALREADY」では「TOGETHER」という曲を布袋寅泰と共作しています。

「W HEADLINE TOUR TOMOYASU HOTEI VS JESUS JONES」

<MUSICIANS>
Guitar&Vocal:布袋寅泰
Guitar:成田 忍
Bass:浅田 孟
Drums:椎野恭一
Keyboards:小森茂生 

Also...JESUS JONES

<DATE&PLACE>
1994
09.20 日本武道館
09.21 日本武道館
09.23 福岡サンパレス
09.25 大阪厚生年金会館
09.27 名古屋市民会館

<SET LIST>
---JESUS JONES 
WHO? WHERE? WHY? 
GET A GOOD THING 
INTERNATIONAL BRIGHT YOUNG THING 
CARICATURE 
THE RIGHT DECISION 
THE DEVIL YOU KNOW 
SONG 13 
RIGHT HERE,RIGHT NOW 
REAL REAL REAL 
MAGAZINE 
YELLOW BROWN 
MOVE MOUNTAINS 
INFO FREAKO 
ZEROES AND ONES 
IDIOT STARE 
---HOTEI 
C'MON EVERYBODY 
UPSIDE-DOWN 
MATERIALS 
DIRTY STAR 
さよならアンディ・ウォーホル 
PRECIOUS DEAL 
SLOW MOTION 
OUTSIDER 
MERRY-GO-ROUND 
RADIO! RADIO! RADIO! 
DIVING WITH MY CAR 
BEAT EMOTION 
PRISONER 
[ENCORE-1] 
STARMAN (HOTEI BAND + MIKE) 
ELECTRIC WARRIORS (JESUS JONES + HOTEI) 

IDIOT STAREがかっこいいですよ。


2013年11月9日の布袋寅泰のロンドン公演にもマイク・エドワーズがゲスト出演していますね。


また、布袋寅泰の妹である狩野環の長女であり、シンガーソングライターのタグチハナの「ハナ」の名前をマイク・エドワーズの女児にセカンドネームとして贈っていますね。

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